ハナビラダカラ(5)
徳之島の貝

真野 進
(2002.09.01)

本年7月8日から12日にかけて鹿児島県、徳之島に行く機会がありその際にハナビラダカラを採集した。採集場所は石垣島の時の経験をもとにタイドプールの中の転石の下を中心に行った。

方法

結果及び考察

p01写真1:大きな個体と小さな個体。
大きな個体では側面が張り出し、菱形になるものが多い。

p2写真2:色変わり

飴色がかった個体(右)から白い個体(左)までバリエーションが見られる。一番左の個体のように白いものは石垣島の個体群には見られなかった物である。

写真3:形態殻の形は必ずしも左右対称ではないが、左の個体のように片方だけが張り出しているのも珍しい。
また、右の個体は背中に石灰藻のようなものを巻き込んでいる。このような巻き込みは冬の水温が下がる地方ではよく見られるが、今回の採集群ではこれ一個体のみであった。

p3写真4:殻の成長

測定した結果

個体数
(N)
殻高mm
(L)
伸長度
(L/W)
扁平度
(H/W)
歯数
(Teeth)
Juvenile
(%)
Mean   SD Max Min Mean   SD Mean   SD 内唇
(C)
外唇
(L)
106 20.5 ± 2.62 27.7 14.5 1.36 ± 0.066 0.69 ± 0.035 11.2 12.2 6

 

殻長 :
(size)
殻長は、最大27.7mm、最小14.5mm、平均20.5mm、標準偏差2.62であった。分布図を見ると数は少ないが飛び抜けて大きな個体が出現し正規性を崩している。
この平均値は、石垣島のハナビラダカラの平均殻長、18.9mmと比べ大きい。しかし、山口の報告した1985年採集の徳之島・母間(21.21mm)、同・喜念浜(22.75mm)のデータよりも小さくなっている。
伸長度:
(L/W)
伸長度 最小1.24、 最大1.57、平均1.36、標準偏差0.066であった。
扁平度:
(H/W)
最小0.63、最大0.80、平均0.69、標準偏差0.035であった。
この値は、左右の縁が張り出すと小さくなるが、ここの貝が最小となった
内唇歯:
(columellar teeth)
最少 10個、最多 14個、平均 11.2個であった。
外唇歯:
(labral teeth)
最少 10個、最多 15個、平均 12.2個であった。

あとがき 徳之島・金見崎の「民宿 金見荘」さんに滞在しての採集でした。生憎台風とぶつかり二日くらいは海に入れませんでしたが、台風が通り抜けるのを待ちかねて、直ぐ前の広い礁湖に行きました。
此処でも、ハナビラダカラは岸に近い所の、転石の下に数多く見られましたが、石垣島の個体群に比べ明らかに大型な事、写真2の左のように白っぽい個体が多いのが印象的でした。