チャイロキヌタ(16)
定点観測 まとめ

真野 進
(2003.12.01)

 チャイロキヌタの平均殻長がどのような因子によって影響されているかを探るために、ほぼ一年間、月一回、一定場所で打上殻全数を採集し測定を続けてきた。
今回はそれを纏めた。
 
方法    
  採集地(Location) 三浦半島、荒崎
  採集法 原則として月一回、決めた範囲の打上貝を全量拾う。
  測定法・測定項目  

 結果及び考察

 測定結果     

採集日
(Date)

個体数
(N)

殻高(L)mm

伸長度(L/W)

扁平度(H/W)

亜成貝
(%)

Mean

±

SD

Max

Min

Mean

±

SD

Mean

±

SD

'02.10-'03.10

3869

15.1

±

1.61

21.3

10.4

1.67

±

0.049

0.81

±

0.017

4
1.殻長(L)
size
平均殻長は15.1±1.61mmだった。
3σ範囲は、10.27mm〜19.93mmとなった。

殻長分布図:
流石にこれだけサンプル数が多くなると左図に見られるようにその分布は正規性を示すようになる。
2.伸長度(W/L) elongate 月々の平均は1.66〜1.68で、年平均値は、1.67だった。
3.扁平度(H/W)
 depressed
平均値は、12ヶ月間0.81と全く同じ値を示した。
4.亜成貝%
young shells
亜成貝の割合は年合計で4%であった。成貝と亜成貝の区別はかなり曖昧であるが、その出現頻度に季節性は無かった。これは、死んでから殻が打ち上がるまでの期間がまちまちであることによると思われる。

採集年月日
10.04 11.24 01.07 02.07 03.09 04.04 05.02 06.03 07.14 08.12 09.04 10.07 平均

平均殻長(mm)
15.3 15.4 15.3 15.2 15.4 14.9 15.0 15.1 15.1 15.2 15.1 14.9 15.1

標準偏差
1.62 1.63 1.66 1.71 1.60 1.51 1.51 1.60 1.58 1.44 1.70 1.65 1.61
採集日毎の殻長平均値を示す。
平均値は14.9mm〜15.4mmまで変化したが季節変化による一定の傾向は認められ無かった。
これは、環境による殻長変化が少ないことを示すとも見られるが、貝が死んでからその殻が打ち上がるまでの期間が一定でない(先入れ先出しになっていない)ことも影響していると思われる。
あとがき
 チャイロキヌタの平均殻長がどのような因子によって影響されているかを探るために一年間採集、測定を続けてきましたが、個体群の平均殻長は比較的安定していることが伺えました。しかし、自然界のなかに一定の法則を見つけだすことの難しさを痛感した一年でした。