チャイロキヌタ(6)

三浦半島・諸磯の打上貝

真野 進
(2001.05.15.)

メダカラで海岸毎に大きさの違いが有ることが分かってきたが、このような違いがメダカラだけでなく、チャイロキヌタでも同様に見られるとなれば、その原因は遺伝的なものでなく、環境的なものと言うことが出来よう。そこで今回は、諸磯のチャイロキヌタを測定した。ここでは、打上数が少なく、昨年の12月から今年の4月まで数回の採集標本を用いた。

方法

結果及び考察

 測定結果

1.サイズ(L)
size
 
最大21.0 mm、最小11.7mm、平均15.8 mm、標準偏差1.80であった。打上数が少なく採集に5ヶ月を要した為、同一母集団からの採集とならなかったおそれがあったが、分布図を見ると大きな乱れはないようである。
平均値は三浦半島・三戸と大浦の中間の値で、メダカラと同じ傾向を示した。
総合表
2.伸長度(W/L) 
elongate
最大1.80、最小1.53、平均1.67、標準偏差0.049であった。
3.扁平度(H/W)
depressed
最大0.85、最小0.76、平均0.81、標準偏差0.017であった。
4.歯数
teeth
内唇歯12ー20、平均16.3、外唇歯13ー20、平均17.1個であった。
5.未成貝
junenile%
未成貝と思われる個体数をカウントしたが、117個中1個、1%であった。

あとがき
 今回の測定で、チャイロキヌタの海岸毎の大きさはメダカラと同様の傾向を示していることが確かめられました。すなわち、メダカラもチャイロキヌタも三浦半島では三戸<諸磯<大浦の順番で大きくなり、房総半島では館山<内房<白浜の順でした。
 このことから、メダカラ、チャイロキヌタの海岸毎の大きさの違いは遺伝的なものでなく、環境の違いによるものと断定できます。しかし、それではその環境とは何かとなるとまだ分かっていません。
 一番大きな因子は水温かと推察していますが、この測定がなかなか難しそうで良い方法が思い浮かびません。そのほかには、栄養、生育密度、生育深度などが考えられますが何れもデータ化は難しそうです。