前回、和歌山県・串本の打上貝の計測を行った。今回はフィリピン・マクタン島産の貝107個を入手できたので比較のため測定した。この貝は同一生息地の個体群で、標本貝にありがちな選別も行われていない珍しいサンプルといえる。
方法
結果及び考察
| 写真1 背面 |
背の色は明るい茶色から、少し灰色がかったものまでの個体変異が見られる。 |
| 写真2 腹面 |
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| 写真3 縦断面(Sadital section) |
軸唇歯が良く発達し、軸唇窩の中まで良く隆起している。 |
| 写真4 横断面(Cross section) |
これは老成が進んだ個体であるが、横断面を見ると殻が全体に肥厚しており、ハナマルユキのように辺縁が特に厚くなる事はない。 |
| 殻長 : (size) |
殻長は、最大46.9mm、最小18.4mm、平均25.9mm、標準偏差4.73と、和歌山・串本に比べ明らかに小さかった。分布図を見ると飛び抜けて大きい個体が4個有り、正規分布を崩している。 |
| 伸長度: (L/W) |
伸長度 最小1.54、 最大1.88、平均1.69、標準偏差0.066で、串本産に比べ細長い傾向を示している。 |
| 扁平度: (H/W) |
最小0.74、最大0.85、平均0.81、標準偏差0.019であった。この値は、串本産に比べると背の盛り上がりが少ない傾向で有った。 |
| 内唇歯: (columellar teeth) |
最少 16個、最多 25個、平均 20.0個であった。 |
| 外唇歯: (labral teeth) |
最少 17個、最多 30個、平均 22.0個であった。 |
あとがき
フィリピン産の標本貝を107個入手出来たので、測定してみました。串本の打上貝のデータと比較するとかなり小さく、タカラガイで一般的に言われる北方大型説に合致するようです。しかし、一般に売買される標本貝はフィリピン産でももっと大きく今回の結果は少し意外でした。この原因は、今回の個体群でもそうですが少数ながら飛び抜けて大きい個体が混じり、そのような個体が一般的には標本として流通する為と考えられます。クチムラサキダカラの世界記録は、最小16.7mm、最大130mmで最大個体は最小個体の7.8倍もありタカラガイ中最も差が大きいと言えます。このような種の場合は、その大きさの分布は正規性をとれず、上図の様になると思われます。
今回も、ハワイクチムラサキダカラに見られる辺縁の凸凹が老成個体に見られるのではと思い注意深く調べてみましたが一個体もありませんでした。やはり、この二つは別種の様です。