ヒロクチダカラ(1)
宮古島の打上貝

真野 進
(2003.06.16)

ヒロクチダカラはクロダカラと近縁の種で、日本では三宅島から沖縄諸島まで分布しているとされている。しかし、その割に市場で話題となる事が少ない。これは、比較的地味な貝の所為か、または棲息数が少ない為と推察される。この度宮古島で多くのヒロクチダカラを拾うことが出来たので計測を行った。

方法

結果及び考察

写真1 背面 細長い形態と前・後端の斑、背の斑はこの種の特徴。

写真2 腹面 前端に近いほど広くなる殻口と、外唇のよく発達した歯が特徴。

写真3 縦断、横断面

縦断面では前端から5本の歯が長く、幅広く刻まれ、それ以降の歯は細かく刻まれているのがわかる。

横断面からは、この種が外唇歯部分を除いて比較的薄い殻を持ち、成貝層の沈着が少ないことが伺われる。

写真4 若貝
若い貝では、腹面から見ると幼貝の帯が良く見えるのと、外唇歯の発達が弱い事がわかる。胎殻の突出はない。

測定した結果

個体数
(N)

殻高(L)mm

伸長度(L/W)

扁平度(H/W)

歯数(Teeth)

young
(%)

Mean

±

SD

Max

Min

Mean

±

SD

Mean

±

SD

内唇(C)

外唇(L)
100

25.5

±

2.97

36.7

19.7

2.12

±

0.067

0.81

±

0.015

21.7

16.5

5
                     
殻長 :
(size)
殻長は、最大36.7mm、最小19.7mm、平均25.5mm、標準偏差2,97であった。
左図の分布を見ると正規分布とは見えず、飛び抜けて大きい個体が時々出現するタイプの様である。
伸長度:
(L/W)
伸長度 最小1.95、 最大2.27、平均2.12、標準偏差0.067で、細長い円筒状である。
扁平度:
(H/W)
最小0.78、最大0.84、平均0.81、標準偏差0.015であった。この値は他の多くの種と同じであった。
内唇歯:
(columellar teeth)
最少 18個、最多 25個、平均 21.7個であった。
外唇歯:
(labral teeth)
最少 14個、最多 22個、平均 16.5個であった。
他の種では内外唇の歯数はほぼ同じか、外唇側がやや多いのが、この種では外唇側が明らかに少なかった。

あとがき

ヒロクチダカラは比較的広い地域で採集の記録があるのですが、なぜか余り話題になりません。個体数が少ないのかと思っておりましたが、今回の宮古島ではナツメモドキより多くの打上殻を拾うことが出来ました。それでは生体も数多くいるはずと思って探しましたが、とうとう見付かりませんでした。サンゴ礁の海では隠れる場所が多い為、普通の探し方では見付けるのが難しいのかも知れません。