コモンダカラ(3)

コモンダカラの成長 

真野 進
(2002.03.01.)

今回、コモンダカラの幼貝(Bulla)を3匹採集出来たので飼育下における成長と殻の変化を観察した。

試料及び方法

試料


個体No. 産地 採集日 採集場所
erosa01-01 三浦半島・三戸海岸 '01.11.16 潮間帯・岩の窪み
erosa01-02 三浦半島・三戸海岸 '01.11.18 潮間帯・岩の窪み
erosa01-03 三浦半島・三戸海岸 '01.12.16 潮間帯・岩の窪み

飼育法
 30cm水槽(約8リットル)、自然海水にて飼育。26℃定温ヒーター設置。
 10日に一度2リットル程度水交換、1ヶ月に1度、全水交換。
 餌は、主としてカイメンを給与。

結果及び考察

飼育下における採食行動
 最初は何を食べるのか分からず、採集場所付近にある海藻類、海綿類を与える。

吻を伸ばして水槽の壁をなめる。
この行動は、水槽の壁に藻類が生えていなくても見られることから採食の基本行動と思われる。
海綿を食べる行動。
コモンダカラは海綿食で有るが、クロイソカイメン、ダイダイイソカイメンは食べず、黄色の海綿のみを摂取した。
写真は、メダカラとコモンダカラが黄色の海綿を食べているところ。
吻を伸ばして海綿を食べる。

殻長測定結果

erosa01-01

erosa01-02

erosa01-03

月日

殻長mm

月日

殻長 mm

月日

殻長 mm

11.17

23.7

11.18

21.5
   

12.05

29.7

11.26

22.5
   

12.15

30.5

12.05

23.1

12.16

24.8

12.25

31.5

12.10

23.2
   

01.09

32.1

 

 

01.09

27.4

01.15

32.3
   

02.05

29.0

1月15日死亡
 

12月10日死亡

 

2月5日死亡
 

表の数値をグラフ化すると下図のようになる。

個体、erosa01の画像

採集時に外唇を傷つけたが、その後回復し歯が出来はじめている。採集後、18日でここまで発達した。

採集したときは、種類が分からなかった。オミナエシダカラにしては、外套膜の樹状突起が違う印象で有った。

上の写真から10日間で背の模様、歯の着色が起こる。内唇側に黒斑が出来はじめている。
内唇側の黒斑が形成される。

個体、erosa02の画像

背の模様、外唇歯が形成される。

個体、erosa03の画像

幼貝時の横縞がはっきりとした個体。
背の模様は少し異常だが、外唇歯の形成と、着色が起こる。

あとがき
 コモンダカラの若い個体を採集できたので飼育してみました。餌、水質なども全く分からないままの飼育でした。今回の飼育で分かったことは、背の模様、外唇歯の形成が急激に起こること、コモンダカラの特徴となっている辺縁の黒斑は成長とともに形成されると言うことです。天然では、辺縁の黒斑は両側にでるもの、外唇側のみでるもの、全くでないものがありますが、これは成熟度と関係があるのかも知れません。
 ハナマルユキ同様、2ヶ月位で死んでしまいました。成長記録を取るため、定期的に水槽より取り出し、大きさを測り、写真を撮る事を繰り返したことが、貝にとっては大きなストレスになっていたかも知れません。