ナツメモドキ(1)
三浦半島の打上貝

真野 進
(2001.07.16)

ナツメモドキは、ケープダカラ亜科、ナツメダカラ属に分類され、変種としてインドナツメモドキ、ナンヨウナツメモドキ、ヒナダカラ、フナシナツメモドキがある(A Guide To Worldwide Cowries Lorenz & Hubert 2000)。棲息域は、銚子以南の熱帯インド・西太平洋.潮間帯〜水深10mの岩礁・サンゴ礁(日本近海産貝類図鑑)。
 三浦半島では低温に弱いこともあり、少ないとされるが、1994年〜1995年にかけては多数採れた(潮騒ガイドブック 2)という。
 今回は、 三浦半島で拾った打上貝について調べた。

方法

結果及び考察

今回のサンプル個体の写真を示す



 

これら貝の大きさ等について測定した結果を表1に示す。

No

殻長(L)
mm

殻幅(W)
mm

背高(H)
mm

伸長度(L/W)
elongate

扁平度(H/W)
depressd

内唇歯数
columellar teeth

外唇歯数
labral teeth

未成貝
juvenile
1 31.0 16.7 13.1 1.86 0.78

-

-

2 27.8 15.6 12.1 1.78 0.78 18 15  
3 24.1 13.9 10.8 1.73 0.78 15 15  
4 26.2 15.2 12.1 1.72 0.80 16 14

5 31.1 17.3 14.2 1.80 0.82 17 15

10 31.9 17.3 13.9 1.84 0.80 18 16  
11 32.5 17.6 14.4 1.85 0.82 17 16  
12 31.5 17.1 13.7 1.84 0.80 16 17  
14 32.1 17.8 14.4 1.80 0.81 16 14  
15 30.6 17.5 13.9 1.75 0.79

-
14

平均値 29.9 16.6 13.3 1.80 0.80 16.6 15.1  
標準偏差 2.85 1.28 1.21 0.051 0.015 1.06 1.05  
MAX 32.5 17.8 14.4 1.86 0.82 18 17  
MIN 24.1 13.9 10.8 1.72 0.78 15 14  
個数 10            

4

殻長 : 最小24.1mm、最大32.5mm、平均29.9mm、標準偏差2.85 で、三浦半島での記録24.1〜37.8mm (潮騒だより No.12)の範囲内にある。また、前述の "A Guide To Worldwide Cowries" のSize Rangeは13-43mmとなっている。
伸長度:
(elongate)
伸長度 最小1.72、 最大1.86、平均1.80、標準偏差0.051で、今まで調べたタカラガイの中で一番大きな値を示した。所謂、円筒状(cylindrical)である。
扁平度:
(depressed)
最小0.78、最大0.82、平均0.80、標準偏差0.015であった。
この値はどの種でもほぼ、同じ値を示すことから、環境から来る基本形かも知れない。
歯数
(teeth)
内唇歯:最少 15個、最多 18個、平均 16.6個であった。
外唇歯:最少 14個、最多 17個、平均 15.1個であった。
未成貝
(Juvenile)
10個中4個、40%の高率であった。このことは、ナツメモドキが低温に弱く、幼生が流れ着いても三浦半島では十分に成熟できないことを示している。

あとがき 前述の「潮騒ガイドブック 2」によれば、半島産のタカラガイ中最も浅いところに棲息するらしいのですが、綺麗なものは殆ど拾えません。黒潮に運ばれてきた幼生が夏の間、海岸に近い暖かい海で生長するのですが、冬の水温低下が始まると早い時期に死滅してしまうせいかもしれません。
去年から今年にかけて黒潮は八丈島の南まで蛇行し、三浦半島への幼生の供給は少ないものと推測され多くは期待できないようです。