クロダカラは、別名カスミダカラ(霞宝)とも言わる。カスミダカラは目八譜の「霞貝子」の命名に依ったものだが、その目八譜の図を見るとこの種の他にサバダカラに似たような図もあり命名の根拠とするには問題もある。そこで、黒田によりクロダカラと命名された。しかし、いまもカスミダカラの和名の方を好む人も多く見られる。
次に学名だが、「日本近海産貝類図鑑」では、Cypraea (Erronea) listeri Gray,
1824、「潮騒ガイドブック2」および、「世界海産貝類コレクション大図鑑」では、Cypraea felina Gmelin,1791、「原色日本貝類図鑑」では、カスミダカラ(クロダカラ)felina
pauciguttata SCHILDERとなっており混乱を極める。
そこで、"A Guide to Worldwide Cowries"を見ると、felinaの棲息域はインド洋に限り、listeriはインド洋から西太平洋に広がっている。これから見ると日本産は、こちらの種とした方が良さそうである。又同誌では、pauciguttata は、listeriの異名とされている。
今回は、三浦半島の各海岸で拾った10個の標本について測定を行った。
方法
結果及び考察
今回のサンプル個体を示す
| 写真1 成貝 |
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| 写真2 幼貝 |
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これら貝の大きさ等について測定した結果を下表に示す。
| No |
mm |
|
|
|
|
|
|
| 1 | 16.5 | 9.5 | 7.1 | 1.74 | 0.75 | 13 | 14 |
| 2 | 20.0 | 10.9 | 8.3 | 1.83 | 0.76 | 12 | 15 |
| 3 | 14.9 | 8.0 | 6.1 | 1.86 | 0.76 | 13 | 15 |
| 4 | 17.9 | 10.6 | 8.1 | 1.69 | 0.76 | 16 | 14 |
| 5 | 15.6 | 8.9 | 6.9 | 1.75 | 0.78 | 16 | 14 |
| 6 | 17.6 | 9.3 | 7.1 | 1.89 | 0.76 | 15 | 15 |
| 7 | 18.4 | 10.3 | 7.6 | 1.79 | 0.74 | 17 | 15 |
| 8 | 18.1 | 10.9 | 8.2 | 1.66 | 0.75 | 14 | 14 |
| 10 | 20.3 | 11.4 | 8.8 | 1.78 | 0.77 | 16 | 17 |
| 11 | 19.9 | 11.4 | 8.6 | 1.75 | 0.75 | 17 | 15 |
| 平均値 | 17.9 | 10.1 | 7.7 | 1.77 | 0.76 | 14.9 | 14.8 |
| 標準偏差 | 1.85 | 1.14 | 0.86 | 0.072 | 0.011 | 1.79 | 0.92 |
| MAX | 20.3 | 11.4 | 8.8 | 1.89 | 0.78 | 17 | 17 |
| MIN | 14.9 | 8.0 | 6.1 | 1.66 | 0.74 | 12 | 14 |
| 殻長 : | 最小14.9mm、最大20.3mm、平均17.9mm、標準偏差1.85であった。 いそっぴー第60号(2001.7.)にある三浦半島の記録は、8.9-23.4mmとなっている。 |
| 伸長度: | 最小1.66、 最大1.89、平均1.77、標準偏差0.078であった。 いわゆる円筒状(cylindrical)に分類される。 |
| 扁平度: | 最小0.74、最大0.74、平均0.76、標準偏差0.011であった。 |
| 内唇歯数: | 最少 12個、最多 17個、平均 14.9個であった。 |
| 外唇歯数: | 最少 14個、最多 17個、平均 14.8個であった。 |
あとがき
クロダカラは三浦半島ではなかなか見付けにくい種類です。渡辺政美さんの「いそっぴー」に有る、タカラガイ類の打上げ状況を見ると、2000年1ー12月長浜海岸での全打ち上げタカラガイ中、0.15%に過ぎません。
私も、この一年間で11個体、幼貝1個体を拾っただけです。はたしてこの種は、相模湾で繁殖しているのでしょうか、それとも黒潮にのって流れ着いているだけなのでしょうか興味の有るところです。
今回の三浦産の標本を、felina、listeriの写真および購入した標本と比べてみると形状が円筒状であり少なくとも相模湾産はlisteriとした方が良さそうです。
しかし、肥後&後藤によりlisteriにはリスタークロダカラと和名が付けられており、これを採ると和名のクロダカラは無くなってしまい、目八譜の「霞貝子」の名の如く、霞の中を彷徨う様な事になります。
何れにしても、老成により殻の形が変わる種もあり、もう少し多くの標本を見ないと、felina、listeriの判断も付けにくいところです。