メダカラは、日本の浅海に広く多産する宝貝(原色日本貝類図鑑 吉良 1954)で、三浦半島でも最も普通に見られる(しおさいガイドブック2 1996)種である。しかし、この貝は小さく、色彩も地味で注目する人も少ない様に思われる。そこでこのメダカラを少し詳しく調べてみることとした。
方法
採集日 2000年11月14日 中潮
採集地 三浦市三戸海岸
採集法 当日は打ち上げも少なく、永い間打ち上げられていたような貝が多かったが成貝59個を採集し、比較的 程度の良い個体10個を選んで測定の対象とした。
測定法 サイズ ノギスにて最小単位0.1mmまで測定。
測定項目 殻長(size):前端から後端までの長さ
殻径(width):内唇側と外唇側の最大幅
背高(hight):腹面から背までの高さ
外唇歯数:末端襞(teminal ridge)も含めカウント
内唇歯数:末端襞(teminal ridge)も含めカウント
伸長度(elongate):殻高/殻径
扁平度(depressed):背高/殻径
結果
色、模様 図1,2に背面、腹面の写真を示す。


No.10の個体を除いて背の色が黒く、図鑑、標本として購入した貝とは異なる。また、内唇側腹面も黒いという特徴がある。この内唇側腹面の色の違いは経時的な変化、又は未成貝の特徴かとも疑ったが、全ての個体に同様の傾向が見られることからそれも考え難い。今後の研究課題とする。
また、腹面から見た前端部の暗紫色の斑は個体により大きさ、濃さにバラツキが見られる。
軸唇高(fossila)、内唇縁(columellar peristome)の形成は個体間の差は無いようである。
これらの貝の大きさ等について測定した結果を表1に示す。
表 1
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サンプル個体の殻長(size)は11.7-20.1mmで、三浦半島での記録6-28mm (しおさいガイドブック2)の範囲内にある。蛇足ではあるがLorenz & Hubertの"A Guide to Worldwide Cowry"でのgracilisのSize Rangeは9-24mmとなっており三浦半島の記録の方が大小とも幅がある。
前述の "A Guide to Worldwide Cowry"を読むと種の特徴を表すのに elongateとか、 depressedの表現がしばしば出てくる。しかしこれらの表現は感覚的であり数字としての裏付けが無いように思われるので今回、elongate を伸長度として、殻長/殻径で表し、 depressedを扁平度として背高/殻径で表してみた(宝貝の 腹面から背までの高さを表すのに良い表現が見つからなかったので「背高」としたが正式の名前が有れば是非教えて下さい)。結果、伸長度は1.59-1.72の範囲にあり平均1.67、扁平度は0.78-0.85の範囲にあり平均0.81であった。いずれの値も個体間のバラツキ(標準偏差)は小さかった。しかしこのような計測にどのような意味があるかは、データを積み上げた上で検討したい。
歯の数は、外唇側、内唇側とも13-16個,平均で内唇歯14個、外唇歯14.7個であった。内唇側は中程から後端にかけて不明瞭となっており正確に数えることは難しいため数がやや不正確となる。いずれにしても殻長の小さい貝は歯の数も少なくなるように思われるが結論を出すには今後のデータの蓄積が必要と思われた。
結論
打上貝とは言え、初めて自分で宝貝を採集したので嬉しくなりまとめてみた。文献調査も行わずいきなりのレポートで結論めいたことはなにも言えないが、今後、地域、季節、生貝についても調べてみたい。尚、メダカラの幼貝と思われる個体を幾つか採集したので図3に示す。
