メダカラ(31)

発生

真野 進
(2006.10.01)

タカラガイに関する文献は多いが、その生態、生活史に関する報告は少ない。先に、ハナマルユキの成長と産卵で、飼育下における産卵活動の観察記録を紹介したが、今回はメダカラの卵塊中での幼生の発生状況を観察することが出来たので報告する。

2006年8月23日

三浦半島の海で、トコブシの殻に生み付けられた卵塊を採集した。写真は、右に見える親メダカラを卵塊の上から引き離して撮影したもの。

卵嚢の中の卵が肉眼でも識別出来るところから可成り発生は進んだものと推察される。

2006年8月23日 Movie

当日家に戻り、20×の実体顕微鏡で観察すると、卵嚢の中で幼生が盛んに動いていた。
幼生は卵能が破れて孵化してから動き出すものと思いこんでいたので、いささか驚きました。

2006年8月26日

タカラガイの親は産卵した後卵塊の上に乗って保護することは良く知られていますが、具体的に何をしているのかは分かっていません。
1.外敵から守る。
2.新鮮な海水をまんべんなく行き渡らせ均一な発生を促す。
3.孵化時卵嚢の壁を破り幼生が外へ出るのを促す。
等が考えられますが、では親が居なくなった卵はどうなるのでしょうか。

毎日海水を取り替えて4日目。
幼生の眼が見え始めた。

2006年8月27日 Movie

5日目
全体に色が付き、中には卵嚢から出て泳ぎだしている個体もある。
ただ、動きは最初に比べると鈍くなってきている。

2006年8月29日

卵嚢から泳ぎだしている幼生の数が増えてきたが、さらに動きは鈍くなっているように見える。卵嚢中の幼生の動きも緩慢で発生の進行も止まっているようです。

以前のハナマルユキの孵化時には、幼生が蜘蛛の子のように卵塊からわき出していたのと比べると非正常な姿に見えます。

2006年8月30日 Movie

卵塊の中の動きはさらにかんまんになり、中には周りがカビのようなもので包まれているものもある。
外泳ぎだした幼生も動かなくなったものが多い。

2006年8月31日以降ほぼ全滅。

マイクロメーターで測ってみると幼生の大きさはほぼ、250ミクロンであった。

今回の観察で、タカラガイの卵は親から離されても発生を続けるが、その発生は不揃いとなり、途中死滅するものが多くなるようです。水中に放置された状態では酸素の供給がまんべんなく行き渡らないのが原因かと思われます。また、親による卵塊のクリーニングもタカラガイの発生にとって重要な役割を果たしている様です。