ヒメハラダカラ (1)
御前崎の打上貝

真野 進
(2005.10.16.)

この種はナツメモドキ属に属し、我が国では房総半島から沖縄まで広く生息する。しかし、この種は水深の深い所に生息するせいか打上で拾うことは滅多になく、私の知る限りでは和歌山(南紀生物35)、房総と御前崎でごくたまに拾える程度である。
幸いこの2年間に10個体を拾うことが出来たので紹介する。

測定値

個体
No

殻長
(L)
mm

殻幅
(W)
mm

背高
(H)
mm

伸長度
(L/W)

扁平度
(H/W)

内唇歯
(c.teeth)

外唇歯
(l.teeth)

1

33.9

21.7

17.8

1.56

0.82

20

22

2

34.2

22.2

18.0

1.54

0.81

23

23

3

33.9

22.7

18.8

1.49

0.83

20

23

4

32.3

21.2

17.5

1.52

0.83

23

26

5

31.7

20.1

16.5

1.58

0.82

22

24

6

33.1

21.9

17.7

1.51

0.81

22

21

7

30.9

19.9

16.5

1.55

0.83

20

21

8

26.7

18.8

14.7

1.42

0.78

19

20

9

38.2

25.0

20.0

1.53

0.80

22

24

10

33.3

21.3

17.8

1.56

0.84

22

22

平均

32.8

21.5

17.5

1.53

0.82

21.3

22.6

標準偏差

2.91

1.71

1.42

0.046

0.016

1.42

1.78

MAX

38.2

25.0

20.0

1.58

0.84

23

26

MIN

26.7

18.8

14.7

1.42

0.78

19

20

写真

p1
p2
何れも磨れたものばかりだが、1,4,6の個体は比較的元の模様を残している。8の個体は前後端がやや欠けている。(No.は上表の個体No.と同じ)

この御前崎のヒメハラダカラについては現生の貝なのか、半化石なのかと言う疑問がある。前述のようにヒメハラダカラは100メートル前後の深い所に生息すると言われ、もしそうであるならば現生の貝が岸に打ち上げられることはまずないであろう。とするとこれらは、古い時代生息していたものが海底の砂に埋まり、その後の地形隆起、または海岸線の後退により浅くなり、近年の砂の流出とともに掘り起こされた可能性が高い。このことは、同海岸で採集されるクロハラダカラにも共通する。クロハラダカラの打上は房総・白浜で有名であり、そこでも御前崎と同様にヒメハラダカラが数は少ないが採集されている事から見るとこの二カ所はよく似た環境なのかも知れない。
これらのことは、殻の年代測定を行えば可成りの部分が明らかになると思われるが、費用面で困難であることが残念である。

尚、千葉には現生の貝も生息しており、はらぐろきぬた氏のHPにその生体の写真が有るので興味をお持ちの方は訪問されることをお勧めします。