ヤナギシボリダカラ(2)
フィリピン・ダバオの貝

真野 進
(2002.05.01)

日本産のヤナギシボリダカラは、近海図鑑にツマグロヤナギシボリ( i. controversa )が記載されてからコレクター達に混乱を引き起こしているように思われる。ヤナギシボリダカラは殻長の個体変異が大きくこれに拍車を掛けている。そこで、前回の和歌山産と比較するためにフィリピン産のヤナギシボリダカラの計測を行った。
方法    
採集地 フィリピン・ダバオ 
採集法 購入
測定法・測定項目  

結果及び考察

写真1 

大きさの変異。大小の差は、タカラガイ中ヤナギシボリダカラが一番大きいという。

写真2 


色の変化。写真ではよく出ていないが濃淡に個体変異がある。

写真3 断面
和歌山・串本産に比べ、軸唇窩内まで歯が伸びている。
写真4 ツマグロヤナギシボリとの比較
1. ハワイ産ツマグロヤナギシボリ(i. controversa) 
2. ガダルカナル産チビヤナギシボリモドキ(i. controversa atriceps) 
3-5. ダバオ産 ヤナギシボリダカラ(isabella isabella)の内、前後端の黒褐色斑が濃い個体。
ハワイ産は背面の色合いが異なることと、前後端の黒褐色斑が顕著である。ガダルカナル産は殻長が小さい以外はフィリピン産と違いはない。

測定した結果

殻長 :
(size)
殻長は、最大36.5mm、最小18.1mm、平均24.4mm、標準偏差3.88であった。
左図の分布を見ると和歌山産の個体群と同じく、正規分布とは見えず、2〜3の個体群に分かれているように見える。
伸長度:
(L/W)
伸長度 最小1.70、 最大1.98、平均1.84、標準偏差0.059で、和歌山産に比べ細長く、円筒状である。
殻長では正規分布を示さなかったが、L/Wの値は左図に見られるように綺麗な正規分布を示している。
扁平度:
(H/W)
最小0.76、最大0.86、平均0.81、標準偏差0.019であった。
内唇歯:
(columellar teeth)
最少 21個、最多 35個、平均 27.4個であった。
歯は内唇も外唇も細かく、正確にカウントするのが難しかった。
外唇歯:
(labral teeth)
最少 24個、最多 45個、平均 31.9個であった。

あとがき フィリピン・ミンダナオ島・ダバオのヤナギシボリダカラを95個購入できました。これらの個体は販売のための選別がされていないように見受けられましたので測定を行いました。ヤナギシボリダカラ(1)の和歌山県産に比べ、全体に小さく、細長いのが特徴です。逆に、和歌山県産は大きく、太めの形状をしているとも言えます。
ツマグロヤナギシボリ(i. cobtroversa)との違いは、ハワイ産の個体数が2個しかないため現時点では何とも言えません。しかし、そもそも「種」とは何かと言う定義があやふやですので追求しても意味のない事なのかも知れません。