クロハラダカラ (2)
採集個体と年代測定

2005.09.01.

前報以降にも、御前崎で5個体を打上採集したが、房総と同じく新鮮殻は無く半化石かと思われる様なもののみであった。そこで、房総で採集した中の一個体で放射性炭素年代測定を行ったので報告する。【房総半島産クロハラダカラのC年代 倉持・真野 南紀生物 47-1 2005】

自己採集品とそのサイズ測定結果

前報に載せなかった殻。番号は、下表のNo.と同じ。


No

殻長
(L)
mm

殻幅
(W)
mm

背高
(H)
mm

伸長度
(L/W)

扁平度
(H/W)

内唇歯
c. teeth

外唇歯
l.teeth

産地
locality

 

1

33.9

24.0

18.3

1.41

0.76

26

25

房総

 

2

38.6

25.4

18.8

1.52

0.74

26

24

房総

 

3

38.2

27.0

20.5

1.41

0.76

26

25

房総

年代測定

4

39.4

30.3

割れ

1.30

 

25

26

房総

 

5

34.6

23.4

割れ

1.48

 

25

25

房総

 

6

39.2

27.4

22.4

1.43

0.82

28

28

御前崎

 

7

40.2

27.3

23.1

1.47

0.85

27

27

御前崎

 

8

44.0

32.4

24.9

1.36

0.77

25

26

御前崎

 

9

37.4

28.3

22.1

1.32

0.78

26

26

御前崎

 

10

33.7

24.3

17.8

1.39

0.73

27

25

御前崎

測定準備中

11

33.3

24.8

割れ

1.34

26

27

御前崎

 

12

35.6

26.0

21.1

1.37

0.81

25

26

八丈

 

平均

37.3

26.7

21.0

1.40

0.78

26.0

25.8

 

 

赤字は前報で報告済みの個体。

放射性炭素年代測定
放射性炭素年代測定の結果、この個体の生息時期は、AD1685-1760年(確率81.9%)であることが示された。これは、約300年前、江戸時代に相当し、中間の1722年は、将軍吉宗が小石川養生書を作ったとされる時期に当たる。当初縄文時代くらいの古さかと推察していたが、意外に新しく、ヒョットすると現在も生存している可能性が残る。又、その時代から今に至る海水温、海岸線の変化がどれほどの物であったかも興味がもたれる。
 但し、今回の測定は一個体のみであり、房総で拾われる全てがこの年代の物とは断定できない、又、同時に御前崎の個体も測定する予定であったが費用面で断念した

あとがき
前回の報告の時、御前崎の採集は1個体のみであったので新産地と断定しませんでしたが、今日までに6個体採集出来たのでこの海域も、クロハラダカラの産地として良いでしょう。しかし、新鮮な個体は見られない、この海域で過去にクロハラダカラの報告が無い、最近海岸線の形が変わり砂が移動している、等から考えると現生ではなく古い殻が掘り出され、打ち上げられた可能性が高いと考えられます。御前崎で採集されるヒメハラダカラについても同様なことが言えるかも知れません。