シボリダカラ(1)
三浦半島の打上貝

真野 進
(2000.12.27)

シボリダカラは、房総半島以南、インド・太平洋に分布し潮間帯から水深20mの岩礁地帯に棲息する。(コレクション大図鑑 菱田)。
 本邦産には2型が見られ、その1は表層上に乳白色の顆粒を粗く散布し、殻口が狭いものと、もう一つは表面が平滑で褐色の地に白点斑を散らし、殻口の広いものである(原色貝類図鑑 吉良)。
 三浦半島では殻に顆粒の出来るタイプは極稀とされる(潮騒ガイドブック 2)。
 またシボリダカラは、シボリダカラ、ミナミシボリダカラ、アフリカシボリダカラ、ホソシボリカラの4亜種に分けられており(A Guide To Worldwide Cowries Lorenz & Hubert 2000)、本邦産はシボリダカラ(limacina limacina Lamarck 1810)である。
 海岸を歩くとかなり頻繁に拾うことが出来るが磨れたものが多いが稀には新鮮なものも見つけることが出来る(写真 シボリダカラ 参照)。
 
今回は、 三浦半島で拾った打上貝について調べた。
方法
採集地 三浦市三戸海岸、諸磯、秋谷海岸
採集法 採集した打ち上げ貝31個の内から比較的状態の良い10個を選択。
測定法・測定項目

結果及び考察

 今回のサンプル個体の背面(写真1)、腹面(写真2)を示す
写真1

 おおむね、茶の地に白点を散らした模様があり、顆粒は発達していない。両端は茶色に彩色されている。白点は未成貝(No.30、17)では辺縁部から発達し、成長と共に背の方にも広がる様に見える。

 

写真2

 歯は茶色で、良く発達するがサメダカラのように底面全体を覆うことはなく、特に内唇側では両端に近いところで長く、中央付近で短くなっている。これは貝の成熟と関係し、若い貝ほどこの傾向が強いようである。No.30の未成貝では歯の着色も極薄くほとんど白色である。

これら貝の大きさ等について測定した結果を下表に示す。

No 殻高mm 殻径mm 背高mm 伸長度 扁平度 内唇歯数 外唇歯数 未成貝 備考 採集地
23 18.3 11.1 9.0 1.65 0.81 19 19   22/12/00 三戸
30 19.3 11.7 9.4 1.65 0.80 16 21 22/12/00 三戸
25 22.1 12.8 10.6 1.73 0.83 19 20   22/12/00 三戸
17 24.8 14.2 11.1 1.75 0.78 20 19 13/12/00 三戸
8 25.8 14.8 12.0 1.74 0.81 19 23   22/11/00 三戸
27 26.9 14.9 11.9 1.81 0.80 22 21   22/12/00 三戸
20 27.0 15.5 12.6 1.74 0.81 19 20   22/12/00 秋谷
22 27.8 15.7 12.8 1.77 0.82 21 21   22/12/00 三戸
15 28.9 16.2 13.2 1.78 0.81 20 21   13/12/00 諸磯
6 29.1 16.8 13.3 1.73 0.79 20 20   22/11/00 三戸
平均値 25.0 14.4 11.6 1.74 0.81 19.5 20.5      
標準偏差 3.86 1.92 1.53 0.051 0.014 1.58 1.18      
MAX 29.1 16.8 13.3 1.81 0.83 22 23      
MIN 18.3 11.1 9.0 1.65 0.78 16 19      
個数               2    
殻高 : 最小18.3mm、最大29.1mm、平均24.7mm、標準偏差3.83 で、三浦半島での記録16-39mm (潮騒ガイドブック 2)の範囲内にある。また、前述の "A Guide To Worldwide Cowries" のSize Rangeは12-39mmとなっている。
伸長度: 最小1.65、 最大1.81、平均1.74、標準偏差0.051で、全体に細長い印象を与える。
扁平度: 最小0.78、最大0.83、平均0.81、標準偏差0.014であった。
内唇歯: 最少 16個、最多 22個、平均 19.5個で、個体による変異が激しい。一番少なかったのはNo.30の未成貝であり、成長に伴い歯数も多くなるのかも知れない。
外唇歯: 最少 19個、最多 23個、平均 20.5個で、内唇歯に較べると変化が少ない。

あとがき
三浦半島では、殻に顆粒の出来るタイプは極稀、とされるので気にしながら拾い集めていますがまだ1個も見つけられないでいます。
同一種でこのような違いが出来る原因が分かれば、亜種とされる他の3種も単なる地方型となる可能性もあり興味深いテーマと考えています。
はらぐろきぬたさんによれば、飼育下でのシボリダカラの模様は自然のものとかなり異なるようですので、餌の種類が相当影響するように思われます。