シボリダカラ(2)
三浦半島の打上貝

真野 進
(2001.02.13.)

前回、シボリダカラ(1)では10個体と数が少なく、三浦半島産のシボリダカラの母集団を推定するには至らなかった。
そこで今回は個体数を100個とし、同様の検討を行った。
方法
採集日 2000年11月ー2001年1月
採集地 三浦半島
採集法 打上貝
測定法・測定項目

結果及び考察

 測定結果

1.サイズ
 
殻高  最大32.5mm、最小16.9mm、平均23.9mm、標準偏差3.15で写真1に最大(No.100)と最小(No.61)個体を示す。母集団(三浦半島産)の範囲を平均±3σとすると、14.5-33.4mmとなり潮騒ガイドブック2の16-39mmよりは小さい。この原因として、サメダカラとの同定の間違いが危惧される。

写真1

2.伸長度  最大1.85、最小1.55、平均1.72、標準偏差0.056であった。写真2に 最大(No.87)と最小(No.69)個体を示す。違いが分かり易いように同じサイズに修正した。

写真2

3.扁平度 最大0.85、最小0.75、平均0.80、標準偏差0.017であった。写真3に 最大(No.78)と最小(No.51)の個体を示す。違いが分かり易いように同じ幅に修正した。

写真3

4.未成貝 未成貝と思われる個体数をカウントしたが、100個中8個 8%であった。シボリダカラは未成貝の打上が多い。
5.歯の数 内唇歯 16ー23、平均19個、外唇歯 17ー24,平均20.5個で他のタカラガイに較べ歯数が多かった。
6.歯列の変異 シボリダカラの亜種の同定に歯列の変異を使うことがあるが、今回拾った中でも歯列の形状は写真4の様に個体差がある。この変異は成熟程度によるとも考えられるが、必ずしもそれだけでないようにも見受けられる。
写真4
7.色、斑紋の変異 今回も、殻に顆粒の出るタイプは見つけることが出来なかった。色は、写真5の様に茶色から、黒いものまで、白点も個体17のように側面のみに見られ、背には無いものもあった。

写真5

7.幼貝 測定に使った個体とは別に壊れてはいるが成長段階の異なる幼貝、未成貝を拾うことが出来た。成長に伴う形状と斑紋の変化が伺われる。(写真5)
写真6

あとがき
 シボリダカラとサメダカラの区別は白点の大きさと、歯の形状、全体の形で行いますが、時にこれが非常に難しくなります。乃ち、磨れた殻では白点が見えなくなること、白点の大きさといっても厳格な基準があるわけではないこと、歯の形状もサメダカラの未成貝ではしばしばシボリダカラのそれと見分けがつかないこと、全体の形も、シボリダカラの小さな物ではサメダカラによく似ていること、などからです。今回の100個体の中にも、そうとう頭をひねった物も混じっております(例:写真2の69の個体)。今回のレポートはこのような不確定性を含んだものとなりました。しかし、これらの個体を除くとサンプリングによる偏りのあるデータとなることが心配されイタシカユシです