キイロダカラ(4)
三浦半島の貝

真野 進
(2003.07.15.)

沖縄、徳之島では多く見られたキイロダカラだが、三浦半島では打上貝も少なく生貝は冬期間しか見られない。又、それらも亜成貝、未成貝(外唇歯が未発達)が主で成熟した個体は殆ど見られない。死殻も春に多く、一つの潮溜りで複数個見付かることもある。これらのことから、三浦半島では夏浮遊幼生で流れ着いた幼貝が秋、冬と成長し水温低下で全滅するというパターンを毎年繰り返していると推察される。
 又、浮遊幼生を運んでくると思われる黒潮が、年によってその流れを変えていることから採集される数も年によって増減する傾向があり、このことを裏付けている。
 3年間の採集でやっと100個体を越えたのでサイズを測定し他の地域との比較を行った。
方法
採集日(Coll. Date) 2000年11月ー2003年6月
採集地(Location) 三浦半島 
採集法(Materials) 打上貝および潮間帯で採集した生貝
測定法・測定項目

結果及び考察

 測定結果

個体数
(N)

殻高(L)mm

伸長度(L/W)

扁平度(H/W)

歯数(Teeth)

Juvenile
(%)

Mean
±

SD

Max

Min

Mean
±

SD

Mean
±

SD

内唇(C)

外唇(L)
101

20.7
±

2.93

29.5

13.8

1.49
±

0.055

0.76
±

0.031

12.3

12.2

12
1.サイズ(L)
size
 
最大29.5mm、最小13.8mm、平均20.7mm、標準偏差2.93であった。
平均値は、前報、徳之島の貝と全く同じで、北方大型説には従っていない。
2.伸長度(L/W) 
elongate
最大1.64、最小1.33、平均1.49、標準偏差0.055であった。
3.扁平度(H/W)
depressed
最大0.81、最小0.65、平均0.76、標準偏差0.031であった。キイロダカラのように老成により成貝層の沈着が著しい種では、伸長度(L/W)、扁平度(H/W)の値が大きいのは成熟が進んでいないことを示している。
4.歯数
teeth
内唇歯10ー15、平均12.3、外唇歯9ー15、平均12.2個であった。
5.若貝
young%
明らかに未成熟の若い貝が12%と高い割合を示した。
6.形態 pmiura
7.幼貝ー亜成貝 pyoungd
pyoungb

あとがき
 三浦半島はキイロダカラが採集される北限と考えられます。それも黒潮があっての分布であり、その勢力の強弱、分流の流れ方により個体数が増減するようです。ではその浮遊幼生が何処で発生し三浦半島に流れ着くのでしょうか。
黒潮本流の早さは2−4ノットと言われています。1ノットは約1.8km/hですから1日に86−173km流れる事になります。一方キイロダカラの浮遊幼生期間を1週間程度と考えるとその期間に600−1200kmも移動出来る事となり、三浦半島のキイロダカラは南紀で生まれという可能性もでてきます。南紀と三浦半島のキイロダカラの消長を比べてみるのも面白いかも知れません。