サメダカラ(1)
三浦半島の打上貝

真野 進
(2000.12.11)

サメダカラは、房総半島以南、奄美、沖縄、インド・太平洋に分布する(コレクション大図鑑 菱田)。三浦半島ではやや少ないとされるが(潮騒ガイドブック 2)、海岸を歩くとかなり頻繁に拾うことが出来、稀に新鮮なものも見つけることが出来る(写真 サメダカラ 参照)。

また、サメダカラにはサメダカラ、ミナミサメダカラ、スベリサメダカラ、ノランサメダカラの4亜種が知られており(A Guide To Worldwide Cowries Lorenz & Hubert 2000)、本邦産はサメダカラ(staphylaea staphylaea Linne 1758)である。

いずれにしても、これらを区別することは専門家でもない限り難しい。特に、自分で採集してみると様々な形態、色があり亜種と言っても変異の中なのではと言う気がしてくる。そこで、今回は、 三浦半島・三戸海岸と諸磯で拾った打上貝について調べた。

方法
採集地 三浦市三戸海岸、諸磯
採集法 採集した打ち上げ貝14個の内から10個を選択。
測定法 サイズ ノギスにて最小単位0.1mmまで測定(0.1mm以下四捨五入)。
測定項目 殻高(size): 前端から後端までの長さ
殻径(width):内唇側と外唇側の最大幅
背高(hight):腹面から背までの高さ
外唇歯数:末端襞(teminal ridge)も含めカウント
内唇歯数:末端襞(teminal ridge)も含めカウント
伸長度(elongate):殻高/殻径
扁平度(depressed):背高/殻径

結果及び考察

 今回のサンプル個体の背面(写真1)、腹面(写真2)を示す
写真1

 おおむね、黒っぽい茶から薄茶の地に白点を散らした模様があり、磨れのせいもあるのか顆粒は余り発達していない。両端は茶色に彩色されている。タカラガイではその形態の特徴を言い表すのに、嘴形"rostrate"と言う表現があるが、今回のサメダカラでは個体により程度は異なるが嘴形の両端を持つものがある(No.13)。

また、No.11の様に、内唇側の張り出しが大きく、前端部の形が変形しているものも見られた。ここには載せなかったが底面がひねられたように変形しているものもあった。これらは、所謂"Freak"なのか正常範囲なのか、何が原因なのか興味深い。

写真2
 歯は茶色で、良く発達し、底面全体を覆っている。No.3の個体は若い貝のようで、歯が底面全体を覆うまでに至っていない。成熟した個体ほど複雑な歯列を持つようである。No.11の前端部形状に注意されたい。

これら貝の大きさ等について測定した結果を下表に示す。(単位: mm,個)

個体No
殻高 殻径 背高 伸長度 扁平度 内唇歯数 外唇歯数

採集日
3 13.8 9.3 7.2 1.48 0.77 18 18 22/11/00
5 16.2 10.1 7.9 1.60 0.78 18 19 22/11/00
1 17.1 10.9 8.9 1.57 0.82 18 18 14/11/00
8 17.2 10.6 8.5 1.62 0.80 18 20 22/11/00
12 17.9 11.2 8.8 1.60 0.79 19 18 06/12/00
7 18.4 11.2 8.7 1.64 0.78 18 21 22/11/00
13 18.7 11.6 9.0 1.61 0.78 18 19 06/12/00
11 18.9 12.5 9.9 1.51 0.79 18 17 22/11/00
9 19.0 11.7 9.2 1.62 0.79 18 18 22/11/00
14 23.1 13.5 11.0 1.71 0.81 19 19 06/12/00
平均値 18.0 11.3 8.9 1.60 0.79 18.2 18.7  
標準偏差 2.38 1.18 1.03 0.065 0.015 0.42 1.16  
MAX 23.1 13.5 11.0 1.71 0.82 19 21  
MIN 13.8 9.3 7.2 1.48 0.77 18 17  
殻高 : 最小13.8mm、最大23.1mm、平均18.0mm、標準偏差2.34 で、三浦半島での記録13-26mm (潮騒ガイドブック 2)の範囲内にある。また、前述の "A Guide To Worldwide Cowries" のSize Rangeは7-29mmとなっている。
伸長度:  最小1.48、 最大1.71、平均1.60、標準偏差0.065で、個体による変異が激しい。No.14の個体は、拾ったときシボリダカラかと思った程である。
扁平度: 最小0.77、最大0.82、平均0.79、標準偏差0.015であった。
内唇歯: 最少 18個、最多 19個、平均 18.2個で、個体間のバラツキは少なかった。
外唇歯: 最少 17個、最多 21個、平均 18.7個で、内唇歯に較べるとバラツキが大きい。
サメダカラの歯は、底面途中から外に向かって発達しているものもるが、今回は殻口に達しているもののみカウントした。

あとがき
一度に沢山拾うことは出来ないので、何回かで集めた貝について調べてみました。しかし、この冬から採集を始めたばかりなので分からないのですが、ひょっとすると季節によっても変化があるかも知れないと思い、余り採集時期がずれないよう気を付けました。