ホシキヌタは我が国では房総半島以南の潮間帯〜水深30m位の岩礁や岩の下に棲む。三浦半島に棲息するタカラガイの中では大型に属する。「潮騒ガイドブック」によれば、近年は生息数が激減し、個体も小型化しているという。それでも、6月から8月頃産卵をしているのをよく見かけるし、打上も比較的多く拾える。
今回は、三浦半島各地の海岸で拾った打上殻と生貝採取した生殻を合わせ101個につきその大きさを測定した。
| 方法 | ||
| 採集日(Coll. Date) | 2000年11月ー2001年8月 | |
| 採集地(Location) | 三浦半島の各海岸 | |
| 採集法 | 打上貝及び生殻 | |
| 測定法・測定項目 |
結果及び考察
| 1.殻長(L) size |
採集した101個体で、最大59.1mm、最小30.7mm、平均44.4mm、標準偏差6.83であった。標準偏差を平均で除した変動係数は15.4となり他のタカラガイと比べても大きさの変動が大きいと言える。又、今まで他のタカラガイでは北方大型説の検証に努めてきたがホシキヌタでは少し様子が異なり、むしろ栄養状態(餌-海綿-の量と生息数)による影響が強く出ているように感じる。 |
| 分布図 | ![]() |
| 2.伸長度(W/L) elongate |
最大1.70、最小1.45、平均1.56、標準偏差0.053であった。 いわゆるglobular(球形)であるがこれも個体変動が大きい。 |
| 3.扁平度(H/W) depressed |
最大0.89、最小0.77、平均0.83、標準偏差0.021であった。 これも、globular(球形)を示す。 |
| 4.歯数 teeth |
内唇歯22.1、外唇歯23.2個であり、今まで調べたタカラガイの中では最も多かった。 しかし、外唇側後端部では不明瞭となり可成りの測定誤差が考えられる。 |
| 5.未成貝 junenile% |
未成貝は4%であった。これもどこまで未成貝とするかの判断の問題があるが少ない方の部類といえる。このことは、ホシキヌタがナツメモドキと違い、三浦半島の海の環境に良く適合して居ることを示しているようである。 |
| 6.殻の発達 | ![]() ホシキヌタの老成による成貝層の沈着はメダカラ、チャイロキヌタと同じようにそれほど大きくはない。せいぜい底面の厚みの増加が認められる程度である。(数字は標本No.) |
あとがき
ホシキヌタは大型であるのに生息数も多く、打上、生貝ともよく見かけます。また、6月から8月は産卵時期に入り、卵を守っている姿を見かけます。このことから、ホシキヌタは黒潮に偶然運ばれて来る種類ではなく、三浦の海で繁殖・生育していることが確認できました。
棲息域の観察では図体はでかいくせに不器用で、隠れるのは下手、また一カ所に固まっていることも多く、タコなどに補食されることも多いようです。
タカラガイ亜科ホシキヌタに、三浦、房総、潮岬で採取した貝の写真を載せましたので合わせてご覧下さい。